街を歩く
小さな木陰を抜けると
住宅地がある
せみの鳴く声の中
ゆっくり歩き出す
できたときは 綺麗だったろう 家々も
さすがに くたびれていて
塗装をやり直したところと
そうでないところの差が激しい
あまりきょろきょろすると
不審者と間違えられるので
淡々と歩く
見知らぬ街に
自分の思い出のかけらを
無理やり当てはめて
何かに 埋まろうとする
よのなか そう うまくはいかない
わかっている
何か脱ぎ捨てるように歩きつづける
そのほうが近い
歩いている間は
忘れられる
同じような町並みは
小さく曲がりながら
つづく
途中 小さなスーパーがあったので
意味もなく入る
まるで 自分が子供の頃に きたような
そんな面構えではいる
果物や野菜コーナーを抜けると
桃の香りが
鼻をついた
いっしゅうするのに
五分とかからない
ペットボトルの ポカリスエットをかい
店を出た
日差しは 意外に厳しい
小さくよろけながら
道をあるく
古ぼけた散髪屋
中をのぞくと
理髪いすに座った お客がふたり
一人は 待合席に座っている
ちょうどよい 込み具合
なぜかしら 安心した
安心している自分がこっけいだ
その姿をみながら
街の匂いをかいだ
刻み込んで
何かと引き換えに
いつでもできるようにした
街のたびは
いつもそうやって
おわる
それ以上も
それ以下も無い




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